2008年2月12日 (火)

『心を生みだす脳のシステム』(茂木健一郎)

『心を生みだす脳のシステム「私」というミステリー』(茂木健一郎)

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カバー折り返し

[千億のニューロンが「私」を作る]
なぜ、脳という物質に心が宿るのか?
視覚や感情の脳内メカニズムはどのようになっているのか?
身体感覚や時間意識、他者に共通する能力など、
心の複雑で豊かな営みは、脳内でどのようにして生まれるのか?
千億のニューロン(神経細胞)がたがいに関係性をもつことから生じる、
脳のシステムとしての性質に、
これらの謎を解き明かす、最大の鍵がある。
脳科学の俊英が、システム論的アプローチという最新の知見をふまえ、
自己意識をめぐる深遠な問題に挑む、スリリングな一冊!

カバー写真●©PEDRO LOBBO/amana imafes

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もくじ

まえがき  9

Ⅰ 脳内現象としての「私」  17

 第一章 脳の中に鏡があった  18
  ──システム論の衝撃

  ニューロンの仕組み 「私」という存在のパラドックス──ケンブリッジの体験から
  脳の機能局在の傾向 視覚野の機能 意識を生みだす脳というシステム
  ミラーニューロンの発見 なぜ、衝撃的だったのか 脳科学のシステム論的転回
  情報処理の「ハブ」としてのミラーニューロン

 第二章 「私」とはクオリアの塊である  39
  ──感覚的クオリアと志向的クオリア

  クオリアとは何か 科学的世界観に開いた穴 「私」という視点の問題
  ホムンクルスと無限後退 感覚的クオリアと志向的クオリア
  ふたつのクオリアの違い
  世界認識の構造 ふたつのクオリアを支える脳内機構 ブラインドサイド
  善光寺の戒壇巡り 志向的クオリアと志向性の関係 「表象」の二つの意味
  「私」の核心は象徴的である

 第三章 ことばの意味が立ち上がるとき  71
  ──志向性と言語

  マガーク効果とフラッシュ効果 異なる感覚のモダリティを統合する志向的プロセス
  言葉の意味と志向的クオリア 言葉の意味はいかにして成立するか
  ジョン・レノンの顔が認識されるまで 言葉の超越性 志向性の連携が失われる時
  ミラーニューロンと言語活動の関係

Ⅱ 世界を把握する方法  95

 第四章 身体感覚のダイナミズム  96
  ──ホディ・イメージの仕組み
  見るためには「道徳」が必要? 空間認識を支える志向性のネットワーク
  逆さまの世界 両眼視野闘争 ボディ・シェーマとボディ・イメージ
  道具に延長するボディ・シェーマ 幻肢(phantom limb)
  歴史上初めての「手術」
  アクティヴ・タッチ 自己と外界の境界

 第五章 アフォーダンスとは何か  124
  ──脳と環境との相互作用
  「石を投げないでください」 アフォーダンスの考え方
  意図せざるアフォーダンス
  視覚の二つの経路 行為の可能性を表すニューロン 環境的知性
  衝突までの時間
  ボディ・シェーマとアフォーダンスの関係 環境認識と身体性

Ⅲ 「私」という視点が生まれるとき  145

 第六章 鏡の中の「私」  146
  ──自己意識の謎を追う

  私の心と他人の心 鏡のテスト ゴリラは自己意識を持つか
  鏡のテストは、何をテストしているのか
  鏡を見るとき、こころの中では何が起きるのか
  心の理論 チンパンジーは人の心を読みとれるか
  チンパンジーの自己意識を否定する根拠 自己意識と他人の心

 第七章 なぜ、他人の心が読みとれるのか  170
  ──共感する能力・表象化する能力

  『東京物語』を見る 「誤信念課題」の実験 「誤信念課題」と自閉症
  「心の理論」と表象化の能力 驚異のサヴァン能力
  「写真課題」が要求する能力
  「心の理論」と共感する能力 自閉症を引き起こす脳内メカニズム
  なぜ、サヴァン能力が生じるのか 「心の理論」前夜
  自分と他人の心を結ぶミラーニューロン
  他人の心を「テコ」にして発達する自分の心
  脳のシステムのバランスが生む「心の理論」

Ⅳ 主観と客観はどう統合されるのか  205

 第八章 「私」の背後に隠されたもの  206
  ──感情と情動

  身近な人はエイリアン? カプグラ妄想 相貌失認
  カプグラ妄想を引き起こす脳障害
  「情動」の持つ普遍的な意義 「赤」を見た時に貼りつけられる感情
  オノマトペ
  世界中が輝いて見える理由 情動による情報処理
  前頭野連合野における情動情報の処理
  客観的に見た情動の役割 アリの迷路学習 感情における主観と客観

 第九章 脳の中の時間、心の中の時間  231
  ──リアリティが生じる理由

  ペンフィールドの驚異的な実験 リアリティを支える神経機構
  マッハの原理
  意識の中の時間 未来を予知する脳? 絶対的な心理的時間
  物理的時間の流れが、心理的瞬間につぶれる 表象の取捨選択
  感覚的同時性と志向的同時性
  リアリティを生み出す脳というシステムと心理的時間

 終章 新たなるシステム論へ向けて 255

  心に対する感覚の進化 脳科学のパラダイム変化 心のハードプロブレム
  「錬心術」を越えて

  参考文献  267
  あとがき  275

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奥付

茂木健一郎──もぎ・けんいちろう

●1962年うまれ。ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー。東京工業大学大学院客員教授。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学理学系大学院物理学専攻過程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専攻は脳科学、生物物理学。
●主な著書に、『脳とクオリア』(日経サイエンス社)、『生きて死ぬ私』(徳間書店)、『心が脳を感じる時』(講談社)など。

NHKブックス[931]
心を生みだす脳のシステム 「私」というミステリー
2001年12月20日 第1刷発行

著者 茂木健一郎
発行者 松尾 武
発行所 日本放送出版会
ISBN4-14-001931-X C1311

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