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2007年5月 1日 (火)

重力と恩寵

  『重力と恩寵』(シモーヌ・ヴェイユ/ちくま学芸文庫)を読み終えた。以前この本を読もうとしたときは、ヴェイユの苦行僧のような実践を何だかわざとらしく感じて途中でページを閉じてしまった。でもそれは中途半端に“偶像”を追いかけ続けている自分というものをヴェイユにはっきりと指摘されたことへの恐れの反応だったのかも知れない。
  巻末に収録された編者ギュスターブ・ティボンによる解題はヴェイユの思想へと読者を温かく導いてくれるすばらしい道案内だが、そのなかで「彼女の思想において何よりも驚かされるのは、その適応範囲が多岐にわたっているということである。それは単純であることによって、触れるものすべてを単純化する……」というくだりがある。もちろん文章を書くことにおいてもヴェイユのことばは、いやというほど耳に響く。
  ぼくが書いている超短編というものは、軽やかさへのあこがれ、ことばの重力からの解放(ただし詩とは違うやり方で)がその魅力だと感じているが、本書によれば、真にそれを実現するのは恩寵によるほかないことになる。だとすれば、ぼくが今までやってきたことはせいぜい軽やかさのまね事でしかないわけで、これはなかなかにショックなことだ。表現において“自分を捨てる”ということはぼくも理想とするところなので、なんとかそのあたりから文章をやり直したいなあと思う。いきなりは無理だけど。

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『重力と恩寵』(シモーヌ・ヴェイユ/ちくま学芸文庫) --- 目次 重力と恩寵……9 真空と補償作用……15 真空を受け入れること……24 執着から離れること……27 充たすものとしての想像力……35 時間を捨て去ること……39 対象なしに... [続きを読む]

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