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2007年12月22日 (土)

「延長また延長」(タキガワ)

  天才的、と思える超短編作家は、たとえば伝助さんとかひまわりさんとか、ぱっと浮かぶのはそのあたりでしょうか。いや、忘れてはならないのがタキガワさんです。こっちがいくら論理を積み重ねようと、そんなものをやすやすと飛び越えてしまうぶっ飛んだ才能を、タキガワさんはもっているように感じます。
  いつかのオフ会で、みねぎしがタキガワさんにパソコンのショートカットを教えていたことがあります。「コマンド+Sで保存」ということはタキガワさんにも理解できたようなのですが、ところが彼女いわく「で、そもそもなんで“保存”する必要があるんですか?」と。
  これにはさすがのみねぎしも答えに窮してしまいました。そう、メールの返信はいちいち引用文を打ち直し、カット&ペーストは文字通りハサミと糊で紙を切り張りするタキガワさんにとって、パソコンにテキストを保存するなどというのは、小さいことなのでありました。
  とはいえ、タキガワさんの作風はけっして奇をてらったものではありません。むしろていねいにことばを選ぶことによって現れる、ぎりぎりのフォルムのうつくしさを追求しているようなのです。その意味で、まさに本格派の超短編作家だとぼくは思っています。
  今回収録した「延長また延長」は500文字の心臓の第20回競作への投稿作。今にして思えば、メール操作も怪しいタキガワさんが超々短編広場や500文字の心臓に参加していたこと自体が奇蹟とも思えます。そんな奇蹟を乗り越えてタキガワ作品に出合えたことをうれしく思うのでした。

  2006年10月、日暮里の夕やけだんだんで「天の尺」というイベントが行なわれました。階段の手すりに貼られた点字の物語を、視覚障害者と晴眼者が協力して読み上るという、ちょっとふしぎなイベントだったのですが、そこに、タキガワさんも作品を送っていました。しかもわざわざイベント会場に来て、点字化されたご自身の作品を、点字のマニュアル片手に、じっと読んでいるではありませんか。30分くらいたってふと見たのですが、タキガワさんはおなじ場所におなじ姿勢でまだ立っておりました。

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