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2008年1月14日 (月)

都会の鳥


都会の鳥


自分の姿が映るおかしな崖だ、と思いながら隼は谷間に舞っている。
孤独だけが自分の輪郭を研ぎ澄ますというのに、この迷宮はひとりにしてくれない。

海のほうから潮の香を乗せた湿っぽい風が吹く。
やんわりと体が持ち上げられて、その一瞬だけ隼は目を閉じる。

ジブンノカタチ。

じっとりと重くなった翼に耐えかねて、隼は落ち始める。
遥か下のほうで陽の光が乱反射して白く飛んでいる。
谷底のように思えていたのは、きっと見たこともない無限の空の高みなのだ。
隼はぐんぐんスピードを上げていく。


作者:はやみかつとし

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コメント

さらっと読んでいい話のようにも思うし、
なんだか怖い話のようにも思う。
たぶん「ジブン」をどう捉えるかで
読み方が変わってくるんじゃないかな。
最後、隼の速度が増していくところに
不安と背中合わせの爽快感があって、
どう読めばいいのか混乱してきたりする。

混乱してきたりする…それはある意味、作者もそうであって。ある意味、未解決を未解決のまま書くほかなかったのがこの作品だったりします。

自分とこの掲示板に書いたんですが、意識的にも無意識的にも影響を受けてる先行作品がいくつかあります。比較して読んでいただけたりすると、共通点や相違点を見つけるのが面白いかもしれません。


「ツバメの速度」水池亘、根多加良
http://www.asahi-net.or.jp/~nv5y-mngs/magazine/msgp/2004/works/first.html
「速度制限」水池亘
http://www.bea.hi-ho.ne.jp/ramble/3sworld/wajutu/28.html

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