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2008年7月22日 (火)

「傷」「出航」(たなかなつみ)

 たなかなつみは言います。「怪談とかホラーとかいまいちピンとこないですよ」と。しかし実際のところ、たなかなつみの作品はけっこう怖い。そのことにたなか自身は気付いていないようなのです。たなかなつみの作品が怖いのは、からだの一部がとれたり、切れたり、もげたりするからかもしれません。もげたものを食べちゃったりもします。もぐもぐ。今回『超短編の世界』に収録させていただいた「傷」も、読んでいただければ分かりますが、なかなか痛いお話です。
 もちろん、たなかなつみの作品はからだの痛みそのものをテーマにしているわけではなく、その痛みは自己の確認作業として必要なもののように思われます。ばらばらになりそうな、不安定な自己をつなぎ止めるための痛みなのだと思います。その意味では「傷」はなかなかたなからしい作品なのではないでしょうか。でもじつのところ、この作品を載せることにした決め手としては「きぃ」の一言につきます。なんとなくこういうのがほしかった。ただそれだけのことなのでした。きぃ。
 もう一作については、たなかに何作か候補を上げてもらい、その中から選びました。紹介していただいたほかの二作「今宵見る夢」「穴」もなかなか捨てがたかったのですが、抑圧されたテイストがちょっぴり「傷」とかぶるので、ここはSF者としてのたなかなつみの魅力を知っていただきたく、「出航」を選びました。これは完全未発表の作品なので、たなかマニアにも喜んでいただけたことと思います。
 たなかなつみといえばえくぼ。本当はえくぼについて語りたいのですが、「ひとの身体的欠陥で遊ぶな」とたなかが言うので、今回はやめときます。が、ひとことだけ。かつて、たなかのえくぼに指を突っ込んだ、やまなかしほさんは震える声でこうつぶやいたといいます。「すごかった」と。

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