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2008年7月10日 (木)

「はかのうらへまわる」「むすびめ」(松本楽志)

「超短編作家・セレクト14」のコーナの作品は、まず創英社さんのほうで掲載したい作家が指定してあったので、ぼくが各作家に連絡して、作品を取りまとめました。当初はひとり一作品の予定でしたが、その後、ひとり二作品掲載となりました。おおまかには、一作はぼくが載せたいと思った作品、もう一作は各作家さんに自薦してもらうパターンが多かったように思います。

 トップバッターは、松本楽志さん。いわずとしれた超短編マッチ箱の盟友です。彼の場合、載せたい作品が多くて困りましたが、まずは「むすびめ」を選ばせていただきました。これは500文字の心臓第32回競作の投稿作ですが、じつは、おなじ回にもうひとつ松本楽志の「結び目」があります。当時はひとり一作の投稿制限がなかったのです。もうひとつの「結び目」は正選にも選ばれているので、興味のある方はチェックしてみてください。ちなみにオリジナルのタイトルは「結び目」でしたが、松本楽志さんの希望で今回「むすびめ」に変わっています。
 「むすびめ」をよくみると、改行がひとつもありません。編集としてはどこかで改行して左の空白ページを埋めたかったらしいのですが、作者におうかがいを立てる前に、ぼくがそれをお断りしました。なぜならこの作品自体が結び目の連なった"一本のつながったものがたり"なので、改行してしまっては男の子と女の子のからだが離れ離れになってしまうと考えたからなのでした。作者はどう思っているかは知りませんが……。
 さて、もう一本は松本楽志さんご本人に選んでいただきました。「はかのうらへまわる」がそれです。この作品は『超短編の世界』にも作品が収録されている青島さかなさんがかつて主宰していた「千文字世界」でおしくも王様を逃した準キング作品でした(ちなみにぼくの作品は同率3位……)。そのときすでにぼくは一票を投じていて「ぴかぴかした建造物に、裏からそっと入る配慮がみごと。そうでなければ、世界の奥の奥で死と生がそうっと結びあっているさまは、とても覗けなかったでしょう。」とコメントしておりました。そんなわけですんなり掲載作が決まったのでした。
 「はかのうらへまわる」を一番最初に配置したのは「まだ生まれてもないのに」というひとことが、『超短編の世界』というものがたりの幕開けとして、これ以上ふさわしいものがないように思えたからです。そして、その試みは成功したと思っています。この作品は、きっと読者を超短編の世界へ迷いこませてくれるに違いありません。

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