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2008年7月25日 (金)

「生」「午後の林」(赤井都)

 文学フリマでの“めっけもん”といえば、葉原あきよさん。しかしフリマの“めっけもん”第一号は、じつはこのひと、赤井都さんだったのでした。
 文学フリマの言壺ブースで見つけて感激したのが、瓶詰めの千文字小説『読求詞』。『読求詞』の入れ物とストーリーの呼応関係が、ブックデザインとテキストの関係を重視した『超短編マッチ箱』の発想と相通ずるように感じたのです。それ以来、赤井作『ミニ掛け軸』にタカスギ作を使ってもらったり、超短編マッチ箱に赤井都作品を掲載させていただいたりと、お互いに刺激しあって今日に至るというわけです。
 今回、まずぼくが選んだのが「午後の林」。500文字の心臓第11回自由題掲載作です。主人公の少女はなかなかに生々しい。それはことさら“リアルだ”とかいうのではなくて、むき出しの少女がそこにただいる、という感じがして、どきっとさせられるのです。少女の不安感と、そこに入り交じった、わずかな耽美の色彩をぜひとも味わっていただきたい作品です。
 もう一本の「生」は赤井さん自身に選んでいただきました。赤井作のどこか地に足が着いた安定感というのは、じつは生活の描写にあるのではないかとぼくににらんでいます。この作品も「米を研ぐ」という日常にあらわれる怪異が描かれていて、まさにその典型とも言えるでしょう。しかし「シャッシャクシャ」「シャッシャク」と、ひとつとして同じもののない米とぎのオノマトペが、作品に軽快なリズムをあたえ、ストーリーが重くなりすぎることをうまく避けているように思いました。さすが赤井さん、技巧的です。
 最近は豆本作家として活動をしている赤井さんですが、そのテキストの魅力をもっといろんなひとに知ってもらいたいと思います。前述の『読求詞』にせよ、豆本の賞を取った『籠込鳥』にせよ、ストーリーあっての装幀なのですから。

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