「酒に罪なし」(川崎隆章)
超短編マッチ箱の第一号を作ろうとしたとき「小さくてデザイン的にきれいな本」にしようというコンセプトがすぐに決まりました。そのコンセプトのほとんどの部分を美柑和俊さんとイワミヒロキさんに担っていただいているわけですが、ともかく七号まで発行できたということは、最初の考え方が間違っていなかったことの証明でもあると思います。えっへん。
しかし、おおまかな方向は決まっていたものの、冊子づくりは手探り状態で、第一号では超短編作品に加えてエッセイも載せることにしました。そんなわけで、今回紹介する川崎隆章さんの「酒に罪なし」の連載は超短編マッチ箱の第一号からスタートしたのです。
「怪しい酒の話を書いてください」とお願いしたところ、川崎さんはいっぺんに六本もの作品を書いてきてくれました。じつは、今回掲載したエッセイ二本のうちの「幻の赤ワイン」はそのときに書いていただいたものなのです。ですから五年半くらい前の原稿が、今回やっと日の目を見たということになります。ほんと、ゆったりと息の長い冊子なのですよ、超短編マッチ箱は。
もう一本の方のお話「恋」はもちろん、今回の特集のために書き下ろしていただいたもの。川崎流「恋」の飲み干し方にしびれていただきたいショート・エッセイです。
ぼくが思うに、超短編と酒はバツグンに相性が良い。だからこれからもちょくちょく川崎さんには「酒に罪なし」の原稿をお願いすることになると思います。ここだけの話、まだつかってない熟成中の原稿も残っていることですし。
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